いろいろ書くつもりだったんだけど

図表まで作ったくせにまとまらなかった。もう少しドーナツ空洞の「質」に踏み込むつもりだったが、我ながら酷い文章。
でも別に新しいこと言ってるわけじゃないのでどっかでもう少し実証的にまとまったのが転がってるんじゃないかなあ……とも思う私。あったら通報お願い。というわけでお蔵入りにするよりはと出してみたけどコソコソ。
■天使なんかいやしねえ四月
ドーナツ化説の続き、になるのかな。

先日、抜きとストーリーということについて空洞の存在を述べたが、実のところこの空洞は二次元における「愛と性の断絶」(あるいは性の単独での存在、性に至ることの非連続)ではないか、というのが私の極めて個人的な印象。
まず、多くのゲームにおいてコンシューマーへの移植が常套手段になり(しかもキャラもシナリオも増える)、またKIDのようなコンシューマーメーカーも良作を出してくる現在、二次元世界において恋愛は目的であると同時に、恋愛だけで(性交へ至るまでもなく)完結、ハッピーエンドを迎えるすることが可能になった。久美沙織が「その先はどうでもいいんだ」とセカイ系を揶揄していた*1のにも繋がるが、恋愛はその位置を手段から目的へと変え、性への連続を必要としなくなってしまった。
逆に勝沼紳一を最右翼とするような陵辱ゲーでは性は性で完結し、目的となる。また、目的としてもうひとつ存在するのが現実社会における利益、実利である*2

さんざん男性ヲタに関わる言説が登場した今となってはいうまでもないことだが、この「実利」というやつは詰まるところ「愛→性」の構図に対して基本的に相容れない。現実的には「実利→性」という構図が優勢となるのが資本主義の末路であり、価値観もそこへとシフトしていくことになる。シビアな現代社会を背景としたエロゲではそこを割り切ったもの、導入としたものも存在するが、そこには愛との決定的な断絶がある*3
しかし、ここしばらくエロゲはこれらの断絶にどう対していたか、「愛→性」の移行をどう捉えていたか、となると、エロゲーという外形のための様式、手段としてしか見てこなかったんじゃないかなと思う。

いままで、ムーブメントを起こしてたのがエロがガジェットとしてしか使われてないようなモノ(Fateでいうところの魔力注入であったり、雫でいうところの狂気の表現形態の一つだったり、鍵ゲーでいうところの重要なシーン前のアクセントだったり)なばかりで、アクセサリーとしてのエロがエロをオブラートに包んだものとはいいがたいとは思う。
http://blog.goo.ne.jp/kamimagi/e/220e22e5c2402565d0da5cf32353f354

主観的な物言いだけど、恋愛ものという外形を持っていても、プレイヤーの「もうダメだ、堕ちたわ俺」という感覚(あるいは「主人公、撃沈されました。白旗を揚げて演習域外へ」という判定が下る瞬間)の誘発とエロシーンへの展開が解離しすぎてる、とでもいうのか、一番ツボに入ったヒロインのルートを進行しているのに「堕ちない」*4。「堕ちる」ところまで持ち込めていないのに様式として消化されるエロシーン。で、プレイヤーは断絶の向こうに置き去りにされレッツゴーCtrlキー。作品自体が連続線を非連続にしているんだからどうにもならないんじゃないか。
まあこんなこと書いてる俺が、二次元じゃえちぃは修羅場死亡フラグですなんて発想だから説得力ないかもw。


で、ここから先は想像であり安易な三次元批判でしかないのだろうが、もしかしたら今のドーナツ化は、エロゲ市場・エロゲユーザのみの問題ではなく、リアルの環境、メディアの影響、その由来を問わず、思春期以後に「断絶」を当然のものとして受容してきた世代*5が20代にきた、そして昔はどこか別世界のように感じていた「断絶」にリアルで直面しているからではないのか、という仮説が私の中に立ち上がっている。Tスクエア音楽の明るいドラマ見て20代になった世代はもう層から脱出してしまったんじゃないかと。
そして、「4年ごとに入れ替わるユーザ層」説は、ユーザ層に供給される新規エロゲマを18歳*6まで育成してきた環境(主に10〜16歳相当)の変動によって形成されるのではないかというところへと思考は展開する。ドラマやメジャーマスゴミが展開する恋愛に関わるキャンペーンの終期も概ねそのくらいじゃないのかな(ここについては調査が必要だが)。
しかし、これを前提の議論としてしまうと、「エロゲルネッサンス」(ほのぼの恋愛エロゲの復興?)は結局来ない可能性を否定できなくなってしまう。断絶は断絶として現実ではもはや埋めようがなく、近年三次元業界が強引に盛り上げようとした「純愛」さえコンシューマー同様に愛のみで完結された去勢空間でしかない。となると結局愛→性の連続線はエロゲ制作側で繋ぎ直さなければならないことになってしまう。
はてさて、この接続は成功するのか、しないのか、と。


で、いつものように投げっぱなしで終わる。もうちょっとまとまったエントリになればよかったんだが、どうにも実力不足。鬼畜系の系譜見ながら、「恋愛エロゲのエロシーンはどんなに濃くエロエロでも『使えない』、でも陵辱ゲーには世話になる」という現象もこの断絶に関連するのかなと思いつつ、閉じ。

*1:ちーちゃんは悠久の向こう」解説。

*2:地位・名誉・財産…あるいは誰かの生命と平穏…を奪い取ることを目的とするヒロインが想像しやすいだろうか(時には「依存」さえ含まれる……これを愛へ置くか実利へ置くかは難しいところ)。愛に負けず劣らず徹底すれば支持される(好例:ファル様)が、中途半端に保険をかけたり逃げ道を残したりするとサンドバッグになる。

*3:ただ、二次元・架空世界においては、実利による性への断絶は多くが何らかの形で救済される。たとえば「天使がいない12月」の明日菜ルートは性と実利(この場合は奪う側という位置)へと断絶していた両者を愛→性の連続線上へ叩き返す物語であるし、エロゲでなくても少コミのバズーカライフルエロマンガやハーレクインのかなりの部分も性のみ・実利のみの断絶が愛→性連続線上へなぜか移行する。

*4:俺が年取っただけだ、というツッコミは全身全霊をもって却下させて頂く!

*5:つまりはバッドエンド系の野島ドラマや宮台エンコー言説を横目で見ていたころ?の世代

*6:実際には高校の先輩あたりが布教元となりそうなのでもっと早いだろうが、アンケートという「力」を行使できるのはもう少し先な!w