神秘と東洋人

終戦のローレライ(2) (講談社文庫)
ようやくローレライを回収し、その概要が語られるところまで読んだ。

それにしても、日本の小説であるためとはいえ、偶発的に超常の力が備わる存在は概して東洋人であることが多い。
主人公を飛躍的にパワーアップさせるのは怪しい中国拳法使いのジジイだし、でもってその技術はやっぱり怪しく中国発祥で、まるで民明書房*1製なのである。
アメリカのように人種問題を抱えるところでは主人公サイドで人種間バランスがとられることがしばしばあるが、それともどうも違うあたり一種のオリエンタリズムと見るべきであろう。エンタテインメントでは潜在的敵意や憧憬が描かれることの多い民族描写とはいえ、いきすぎると面白くないのは言うまでもないことだが。

*1:『魁! 男塾』でおなじみの架空出版元。怪しげな架空武術を最もらしく解説する。