「ロリコン」という概念。

 ロリコンとは、日本では、一般的にロリータ・コンプレックスの略として使われる。
 しかし近年の日本文化、主にマンガの研究により、創作物等において「幼い」ものとされる、外見、等身、顔の内部の造形(額から上と、目から下のバランスなどの観点)等から、そういった造形を持つキャラクターに対して「『ロリコン』」という概念が登場してしまっている。「ロリコン」は省略形であると同時に、欧米ではまったく別の概念を表す意味を持ってしまった。
 何を隠そう私もまた、年末のスピーズ博士の講義で『フルバ』の本田透の造形に対して「ロリコン」という表現が使われた際、省略形としての「ロリ・コン」と混同し少々憤慨していたのであるが、佐藤教授のモダンガールについての講義で「どうやらまったく別の物らしい」と理解することができたのである。
 あとになって中川教授に尋ねたところ、それはやはり別の物だということであった。現実の(自立した)女性に対して目を向けられないという根元的なものは類似しているが、欧米で概念として使われる『ロリコン』はそのように造形された架空の存在を求めるものであるらしい。「日本でいう二次コンのようなものですか?」と踏み込んだところ、「みたいなものだね」との回答。ここにいたって私の疑問は氷解した。

 こういったことを考えると、安易に「ロリコン」という言葉を(日本ローカルの認識で)扱うことの不安を感じてしまう。だからなんだといわれればそれまでだけれど。