たぶんあと半歩で悪夢。

 この主人公が幸いだったのは、まだかろうじて「女性」に対する関心が残っていたことだろう。まだ希望を持っていたからこそクラスメートやバイト先に動揺する余裕があった。……と思っていた。序盤は。


 だがそれは半歩の違いでしか無い。


 こう思ってしまったのは、デート?中に未来と遭遇したときの態度だ。彼の態度は明らかに未来を指向している。当たり前だ、あれだけ虐げられて、まだ幻想が維持できているとしたら、そいつは本物のバカかドマゾでしかない。目の前のクラスメートも店長もあの四人組の同類だと、どこかで引いているのだとすれば、彼はおそらく最悪の形で未来を蹴り倒すことになる。身体は
女性」だが内面は「あの連中と同類ではない」、実に皮肉な形の理想型。


 …というわけで、俺くらい歪んでいると破滅の匂いしか想像できないから困るという話。何巻で無理矢理押し倒して既遂になるかねえ、と。