愛とはなんぞや

神童機操DT-O phase01 (講談社ラノベ文庫)

神童機操DT-O phase01 (講談社ラノベ文庫)

神童機操DT-O phase02 (講談社ラノベ文庫)

神童機操DT-O phase02 (講談社ラノベ文庫)

 「粘膜の作り出す幻想にすぎん!」と言い放ったのがギニアス・サハリンなら、その幻想に踊らされないものこそが愛だと開き直ってしまったのが貞臣であろう、と思う。
 主人公である貞臣は、過去欲望に負けて先走りすぎ、拒絶されたがゆえに、愛と欲望を完全に分離してしまった。そのために、愛とはなんぞやという問いとともに欲望を否定する生を歩んでいる。設定に関してはamazonの煽り文でも見てもらうとして、実に難儀な主人公である。しかしそれは同時に、男性の加害性とフェミニズムを教育された「ある程度よい子」のメディアであったラノベの読者層と重なってくるような機がしてならない。
 しかし、糞真面目で融通が利かない、良くも悪くも一本気である彼は、ばかげた設定の作品世界の中でも無駄に熱いヒーローなのである。とりあえず、どうせ一発ネタのハーレムものだろうと思ってた俺は見事に騙された。そして修羅場スキー的には楽しかった。