いまだ健在なり

因果―捜査班 (徳間文庫)

因果―捜査班 (徳間文庫)

 あえて言おう。麻生らしさは健在であると。
 嘘だと思うなら、『ポートタウン・ブルース』から読み直してみればいい。そこには一貫した「枠組み」「カテゴリー」「レッテル」への視線がある。クレジットカードを引き裂かれる男も、一家を惨殺した女性も。枠組みを振りかざすことを憎みながらも、そこに囚われる弱さに向けるまなざしは、『VS』以降の突き放したものに変化してはいるが、やはり本質的には変わってはいないことを、俺は確信できた。もちろん俺の主観だが。


 「もうちょっとだけ続くんじゃ」といったところか。完結したもんだと思ってたんだけど。