こんなところにも「クトゥルー神話」が。
- 作者: 木暮正夫,国松俊英,山本孝
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2005/02/04
- メディア: 単行本
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この中に「あの水族館には魚人間がでる!」(浜野えつひろ)という一編がある。
幼い頃に死んだと聞かされていた父方の故郷に向かった少年が、その町の水族館で魚人間の絵や「我々は魚になって千年生きる」といった言葉を目にする。その間に彼は、母がこの町や父の親戚たちのことをよくは言ってなかったことや、町に行ってはいけないという母の忠告を思い出す。大きな水槽の前で、一人の老人と彼は出会い……。
どうみても『インスマウスの影』亜種です本当に(略
今時の児童小説らしく記憶の中の父への思慕に満ちていて、怪談シリーズなのに最後がまったくホラーらしくない。むしろ原典『インスマウスの影』と同じように、自分探しの行き着いた先に光が見えたような雰囲気で終わっている。
彼はこのあと母のところへ帰るのだろうか。
ホラーとして読むならば「帰れない」と読むべきだのだろうが、私は「一度帰る」と読んだ。少なくとも彼がそうすることは可能であり、またそれを阻むほど一族は狭量ではないだろう。父の親戚が母から彼を奪おうとしたことが語られてはいるが、私がラストシーンに感じたのはそんな冷たさではなかったのだ。いあ! いあ!