ホットペーパー

 『飛ぶ教室 秋(通巻3)』の「少女小説 かけ足の百年史」(横川)の引用頻度って恐ろしく高いのな……。
 俺自身も引用したことあるけど、あれほど簡潔にまとまった少女小説史で活字になってるのってほとんど無い。明治大正期の少女小説をめくる路線対立とかの先行研究はちらほらあるんだけど。


 とはいえ、横川の百年史も戦後大きく分岐したSの系譜ではない方についてざっくりしすぎてるという点が少々気に入らなくて、コバルトにどっぷり浸かってる俺から見るといつまで聖域化するつもりだというイライラが募る。
 「まずひとつ認めろ……所詮イケメン消費の妄想に過ぎないということを」。現実では家を嫌って、家庭に押し込められることを嫌うのに、家庭を武器に欠損イケメンを矯正させ彼の家庭に居座ろうとする物語に「萌える」姿は非常にグロテスクである。


 もちろん、俺も含めて。




 追記:


 そして、「欠損を癒してくれる存在である」という「幻想的」事実もまたグロテスクである。ファル様ってこの点でも裏をかいていたんだなとふと思う。