あっー……。
どうやら俺は……大きな勘違いをしていたらしい……(キバヤシ略)
あれほど「少女化するエロゲ消費者男性」をサディスティックに抉った演出はないと思う。というかあれはジジェク言うところのヒッチコック(スラヴォイ・ジジェク『汝の症候を楽しめ』筑摩書房2001)そのものである。
(中略)
言葉を胎内から見上げるカットの切断窓とヨットの舷側の対比、女性器を表すヨットの上空映像(帆がナニでキャビンがナニである)、その中で胎児のように眠る言葉の姿」のコンボは気付いた時には鳥肌が立つのを感じた(そしてそれは私に「あるべき母の姿に外れて家族を捨てた母親を強く憎悪する」ギニアスが縋った「鋼鉄の子宮」アプサラスIIIを思い出させた)。
よく考えたら、前段の前提なら、後段の表彰の読み解きは根本的に間違ってるってことじゃないか。
上空からの視点だと、ヨットの舷側と帆が大小のヒダで、キャビンが穴+子宮だってところまでは間違ってないんだけど、マストをクリと理解することが根本的に間違いだった。
なぜなら、その直前のシーンでヨット側面図のシーンが入ってる。で、そのシーンではマストと帆は風を受けて膨らんでる。これをスルーすべきではなかったというわけだ。
夕日の前に映るマストは勃起のメタファーであり、ヨットの表象と重ね合わせると、「少女化するエロゲ消費者男性」はただ言葉によってのみ代替されているのではなく、むしろ視聴者男性は、ヨットが暗示する「勃起した両性具有者」というメタファーを突き付けられていると解するのが妥当のように見えてくる。
こいつは俺の勝手な創造だけど、万が一、もし当たっているとしたら、アニメ版はとんでもないスタッフが集まっていたんだなと背筋が寒くなってくる……。