ラノベは昔からエロかったぜ?

ライトノべルが読みたいっ 第二回 ラノベはエロくなったか?
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老害にとっては、ラノベがエロイのは当たり前ですが何か。

 70年代じゃ富島健夫の直球エロ青春小説がコバルト文庫第一号。夢枕獏はネコを撫でていい声で啼かせるなんてギリギリの怪しさを持った作品でコバルトからデビュー、メルヘン系にイメージが固定するのはいやだといって真逆の方向に。
 80年代のシモネタトーク全開の氷室冴子作品はあるし、赤羽健美のユーモア推理では「赤ちゃんプレイクラブ」なんて描写も出てくる。
 スニーカーではご存じルナ・ヴァルガー。黒猫館やエスカレーションを筆頭に富士見書房黒歴史は今さら書くまでもない。ファミ通文庫初期には並行で刊行されていたプレリュード文庫なんてものもあった。

 初期のラノベは青春小説・ジュブナイル小説の特等を色濃く残している(ファンタジーと青春小説の融合をライトノベルの多巻ものという特性を生かして見事に果たした第一人者が麻生俊平だろうと信者補正)わけで、性への興味もその一つ。富島、氷室のころはそれもリアリズムだったわけだ。
 記事が「自主規制が働いた」とするスレイヤーズの頃はたしかに富士見ファンタジアがスタンダードになった時期ではあるが、回想や過去では平気でエロイシーンは言及されている。冴木忍とか。
 むしろおかしくなったのはコバルトの安定に伴う「オトメ共同体」の構築からではないだろうかと俺は考えている。象徴的な出来事が、久美『コバルト風雲録』の丘ミキキスシーン騒動と、同じく丘ミキの新装版8巻注釈のキンタマ騒動だと思う。前者はキスシーン初動がヒロインだったことに対する大ブーイング。後者はヒロインのセリフに「キンタマ」という表現があったことへのブーイングである。
 ラノベは良くも悪くも一個の想像の共同体を想定して書かれている。その共同体が変われば自主規制コードも変わっていく。少女小説が少女概念とのせめぎ合いで成長してきたように、ラノベもまた同じである。老害としてはこの先も楽しみである。



 今年の日本児童文学学会大会はゲストスピーカーが東浩紀、シンポジウムがアニメ、ゲーム、ラノベを巡る話だそうな。