電撃新刊と木曜日の財政破綻

新刊ネタバレ含む注意。

レジンキャストミルク (電撃文庫)

レジンキャストミルク (電撃文庫)

とりあえず読了。前作に比べて相対的に主人公の問答無用さが目立つ。まあ1巻なので様子見。この先どう化けるかという期待でもあるし、まだ出揃っていない人々への期待でもある。

灼眼のシャナ〈10〉 (電撃文庫)

灼眼のシャナ〈10〉 (電撃文庫)

熱くて熱くて熱くて燃え尽きるぜぇ!
大擁炉モロク燃え! 虹の翼メリヒム燃え! 甲鉄竜イルヤンカ激燃え!
麻生作品の魅力が「敵役の正しさ」という表現を借りるならば876作品の魅力は「敵役のカッコよさと熱さ」。
今作好みとしては何よりも甲鉄竜イルヤンカ。棺の織手もなんか物足りないし、メリヒムは……シャナ0で壊されてしまったあとなので、ちょっと熱さがイメージに阻害されている気分。しかしうーむ、ラミー師匠が萌えキャラになってしまった……。

わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)

わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)

それぞれの切ない想いは確かに見えるんだけど、どうも私の嗜好からは「張力が足りない」と思ってしまうのは主人公一人称だからかな……。
もともと軍ヲタだから三角関係の一点が行う戦略思考その他が書き込まれてるか、あるいは行動の一撃一撃が常に主人公の意識を上回る重いものでクリティカルを狙うか、どちらかの両極端が私の好み。
その点において、まだ相馬は甘い攻めだし、松澤もいまいち攻めに転じきっていないような印象。
あー物足りない。

ウィザーズ・ブレイン〈5〉賢人の庭〈下〉 (電撃文庫)

ウィザーズ・ブレイン〈5〉賢人の庭〈下〉 (電撃文庫)

最近忘れてたものを取り戻した気がする。
不真正法律屋から不真正文学屋に転向してから、忘れていたはずのものを取り戻した気がする。どう言い訳しようと、現実に俺は多くのものを失っている。そろそろ取り戻す作業を始めてみようか。
「ああ、やっぱり俺は結局のところスピード狂なんだ」と。
ウィザブレ1巻から、家族という鍵に隠れて続いてきた冷たい方程式。その果ての、総決算としての5巻下。もちろん今作それぞれの生き様に対して、読み手としては共感できるできないははっきり別れると思う。書き手としての立場を知っていれば、『森羅』に対する引っかかり*1を別としても「やられた感」を多少なりと受けるかもしれない。
一発勝負であるはずの「受賞作」、鍵信者に叩かれながらもここまで展開してきたその「世界」にまずは賞賛を。ついで本編への期待を。

*1:インフレーションの産物として。某ゼロシステムに似た管制機構は、情報制御を柱とした世界ならあって当然の代物ではあるけれど、アクション小説という側面からはやや微妙w。