さてどうするか。

W教授の提示した読者層論的な方向性だと対象作品が大きく拡大するわけだが……うーむ。
というのもここ一年の新刊を崩している間にもそちらへの誘惑が強いのだ。


そろそろ本格的に論文のことを考えないといけないのだが、S教授の指摘のように「狭いジャンルの中でも特殊な作家を扱うこと」の正当性が越えられないという問題がどうにも片付くとは思えない。
そんな中で

Missing〈12〉神降ろしの物語 (電撃文庫)

Missing〈12〉神降ろしの物語 (電撃文庫)

が発売され、全体を貫く「異界」がメタであることが文脈上明記された。ここにおいて範子の鏡の破片をはじめとする作品独特の「痛覚」表現と、奈々美の切断といった描写に強い意味が付与された。特定少数他者の中での自己規定、依存対象としての成功イデオロギー的物語…少年期である現実世界と、大人の擦り切れるような「異界」の対置と、少年を異界へと誘い出す「物語」とそれを阻止する「黒服」の存在。
残すところあと1冊*1。怪奇幻想の常として壊される宿命にある(なかがきより)世界は、どういうかたちの終焉を迎えるのだろうか。


さて、どうするか。

*1:なかがき「1」とは書いてなかったし。