モノグラフさん経由。

ネタもないのでモノグラフさん(http://monogragh.fc2web.com/ )経由で。

「うたたねこや」さん
女性向けレーベルと男性向けレーベルとBLと
http://utata.s18.xrea.com/200508.html#27_t1

以前、「L文学」という用語を創立されたことがある(斉藤美奈子著作だったっけか)。ところがこれは対象作品の年齢層が高すぎて定着しなかったっけ。最近では『ハチクロ』を「フリーエイジコミック」と位置づけた例がある。「少女少女していない」作品群の迷走はまだまだ続きそうだなと思う今日この頃。



さて、興味深いと思ったのはこの部分。

……で、そのBLを女性向けライトノベルとしたなら、男性向けの市場とくらべて勝りこそすれ劣ることはないんじゃないかと思うわけです。実際の数字は知りませんけど。もしBLが含められるとしたなら量的にも女性向けが男性向けと拮抗するだろうし、ガイド本やそういった紹介記事でも当然それだけのものが出て来るんじゃないかと考えられます。でも実際はそうなっていないわけで、男性向けのガイド本などで女性向けレーベルの扱いが少ないとしたら、少なくとも「BL作品が紹介出来ないから」というのは理由のひとつになるんじゃないでしょうか。――「紹介出来ない」というのがそもそもライトノベルとして見なされていないからなのか、それとも描写が激しいせいなのか、あるいは質の問題なのかはともかく。

以前読書人だったか図書新聞だったかの記事でライトノベル発行作品数について取り上げられた際、「男性向け」「男性向けアダルト」「女性向け」という分類がされたことからも分かるように、男性向け作品の一部にはボルノグラフィ要素の多い作品レーベルが存在する。これの扱いと同様、BLというジャンルは*1、本来青年層対象とされる「ライトノベル」と分類するのにためらいを抱かせる存在であるのかもしれない。
ご存じのように、BLレーベルの数多くが非ライトノベルを含む官能小説レーベルと表裏一体にある。フランス書院とプランタン出版、シャレードマドンナメイト&ブルーベリーといった小説同士の例に限らず、エロマンガでおなじみの茜新社がオヴィスノベルズを擁しているような例もある。これらをあっさり「ライトノベルですから!」と分類されると、その、なんだ、困る(笑)。


また、これは偏見かもしれないが、BL作品は一種特有の表現や装飾過剰な点*2があったりして、取っつきにくいという印象がある(もちろん装飾過剰だのそれがワンパタだのなんてことは流作品でもいえることだが……)。また、しばしば見かけられる「受キャラ一人称」文体は、日頃「硬い」文体に慣れている層にとっては案外辛いんじゃないかなと*3。描写の過激さだとかそんなのは『デビル17』や『され竜』4巻?以後気にすることでもないかと。

そして、男*4からすると、なんだかんだいってBLには「男性側の萌え文化(?)」ほどの多様性がないという気がする*5。そして、(表向き)本能に逆らう関係性であるがゆえに、より強く「動機の説明付け」「必然性」を求められるため評価ハードルが上がる。そこに追い打ちのように「それって男×男じゃなくてもできる物語でしょ」とBLであることの必然性を求められるとどうにもならない。結果、構造的に紹介されにくい環境が出来上がってしまってるような気がする、というのが私の印象。


……以上、「『つよきす』にスバルエンドはないのか?」と思う程度には腐ってる男のたわごと。

*1:読者の性衝動を(検閲削除)するという効果はないにしてもだ。

*2:コバルト内部で変名使ってるアレとか、WHのアレとかアレとか……。

*3:いやがってたのにとかなぜか満たされるとか書かれていても、「その展開は陵辱エロゲと変わらない」わけで、しかもそれを男性キャラ一人称で書かれても「勘弁してください」としか……(苦笑)

*4:なお、「コバルトのBL傾斜を苦々しく思っている」というバイアスの存在を明示しておく。

*5:いやまあBLにはネコミミだのカップサイズだのの差異は付けようがないし、体位にしtうわなにを(しばらくそのままでお待ちください)……(ぼろっ)上下関係がハッキリしている分その組み合わせも限定されてしまうわけで……偏見っぽいけど。

境界線。

縞田理理の《とろいのです》。『ライトノベル』と『少女小説
http://ririshimada.blog4.fc2.com/blog-entry-293.html
http://ririshimada.blog4.fc2.com/blog-entry-302.html

「CAXの日記」(http://d.hatena.ne.jp/./CAX/20050823)さんより。

たしかに、少女小説だけ別枠で扱われているような感触はなきにしもあらず。
特にウイングスは専門レーベルではない割にBL色がやたらめったら強いためかよけいに別枠だと思われるのかもしれない。8/29削除。


だからといって、少女小説ライトノベルに含まれないとは思わないし、現在のファンタジー小説の多くはわりと榎木・前田・ひかわ・流といった時代の「少女小説」と相互に影響下にあるとさえ思う。『龍と魔法使い』終盤のころから、いろいろとコバルト文庫のリアルタイム読者やってきたけれど、私自身「別枠として意識している」なんてことはあまり考えてこなかった*1

ただ、ラインナップ的に男性が踏み込みにくいもの(BLがその典型だけど、X文庫ティーンズハードのベタ甘一人称も。)が増えてしまうと、どうしても壁を感じてしまうのかなあと。最近のコバルトはBL色を強めてきているし、『マリみて』で流入した男性読者への反発、あるいはコバルトに漂う男性観それ自体の変化*2、総合的に考えると、今後この状況が劇的に変わるかという点には否定的な立場を取らざるを得ない*3と思う。女性側の聖域・「男に踏み込まれたくない(幻想ぶちこわすから)」意識と、男性側の禁忌・「ついていけない」意識*4が、微妙に現代・非ファンタジーロマンスもののあたりに壁を構築しているような気がする*5
男性読者が現在「少女小説」とくくられているものの面白さ(キャラ萌ではなく)を知ってやってくることで状況は変わるかもしれないと思いつつ、従来からの読者にとっては男性読者を意識した作り方をされるのはなんかつまらない訳で。難儀なオッサンだなしかし……。


最後に。
少女小説というかそっち系レーベルに一つ非常に切実な文句があるとするならば、放置と遅筆と打ち切りを何とかしていただきたいということ。
ぶっちゃけ特に高遠作品。つか『レイティアの涙』。あと打ち切り放置喰らった『聴罪師アドリアン』の復刊希望。

……結局これがオチになるんだよなあ、少女小説に言及すると…w。
しかもなんかまとまってないし……。

*1:もっとも、これは私が、ヤマトやアルカディアなどのノベライズ作品を多数抱えていた頃のコバルト文庫を読んだ経験があるからかもしれない。

*2:「王子様の復権」とでもいおうか、渡会月哉@影の王国みたいなのやどっかの一角獣みたいなのが増えてきたw。

*3:変わる要素があるとすれば、スーパーファンタジー文庫からコバルト文庫に移行して復刊されている作品群だろうか……。これにしても新規読者がどこまで取り込めるかは微妙なわけだし。

*4:その辺が面白いのにもったいないw。

*5:いやまあ『S黄尾』あたりはどうともいわない…w。