伝統的ラノベ?

俺はざっくりとこんな風に考えている。

日本少女小説系譜のラノベは居場所から旅立って終わる。それが本人の意思であろうとなかろうと。縁談で崩壊するエス関係や、妖精作戦はここだ。
ドイツ教養小説系譜のラノベは社会への参画や変革に関わる姿勢を示して終わる。眉村的ジュブナイルはこのあたりだろう。少女小説系譜の居場所ものに対する一つのアンチテーゼだったザン剣もこの呪縛は解けなかった。
おそらくヴィルヘルムマイスター系譜のラノベは自分を探し続けて満足したとき(死んだとき・成長できなくなったとき・俺は俺だと開き直ったとき)に終わるのだろう。

で、この作品は典型的というか伝統的な少女小説ジュブナイルでありラノベなのだろうなと思うのである。

エトランゼのすべて (星海社FICTIONS)

エトランゼのすべて (星海社FICTIONS)

新入生の主人公が入ったサークルは、ただ京都を見て回り、だらだらするだけのぬるいサークル。しかし徐々にサークル内の節々に違和感が現れ始める……といった具合の一本。主人公以外のほとんどが四回生以上であり、目の前にあるタイムリミットとの直面がそこにある。主人公にとってもサークルのその後は緊急課題。つまりは、この作品は居場所の終わりに特化して描かれた作品なのである。
とはいえ、一応本作は「日常の謎」と呼ばれるミステリーに属するだろうと俺は考えているので、今語れるのはここまでということにしておく。