保護者兼共犯者/専門職アウトロー

 保護者兼共犯者の立場にいる者は、社会的に無力でない立場と既成のヒエラルキーにとらわれない価値観を両立させるために「専門職」で無ければならない。それはペリーヌ、ジョー、メアリー・ポピンズらイギリス児童文学の少女たちや、『ヴィクトリアンローズテーラー』のクリスや『伯爵と妖精』のリディアが男性中心の教育秩序とは無関係な専門的技能によって地位を得ているのとも近い。
 『妖精作戦』のレッドバグ平沢は私立探偵であり、『いたずら天才クラブ』の青木さんは飼育係(もしかしたら獣医だったかもだし、後述の教師についてはかおる先生もいたっけ)である。『ぼくら』の矢場勇はフリーライターであり、瀬川さんは定年後の老人である。「教師」という体制側ガチガチの存在が彼らの側で関わるのは『時かけ』の福島先生くらいだろう。


 そして、現在もはや教育制度と無関係な専門職というのはかなり難しい存在になっている。高卒あるいは大卒が「受験の要件」となっていない高度専門職は殆どない(司法書士のような例外もあるが……)。ゆえに現代を描いた往年のジュブナイルはもちろん、ラノベもまた専門職アウトローの生存すら難しくなり、ファンタジーを志向するのだ。その行き着く先が、武装アウトローである。
 もっとも、専門職アウトローさえ現実世界からさっさと逃亡して魔王の王国を買ってしまったりするのだから、いかに現実というものがクソッタレかよくわかろうというものである。