またカリ城やってたんだっけ。

 山田ルパンは自ら人を殺さない。敵は自ずから自滅する。


 かなり昔に生前の山田さんが、ラジオ番組のインタビューで、「俺たちに人を殺させるな」という要望をスタッフに対して行っているという話をしていた。それもあって次元がやむを得ずに撃つ、五右衛門がやむを得ずに斬る、という最小限の場合を除いて、ルパン一味が殺人に手を染めることは徹底して排除されていた。


 山田さんの内的動機は空襲経験に由来するとのことだが、山田ルパンの非殺には、それ以上に「因果応報」の構造を強く感じる。良くも悪くもアウトロウである彼らの手が下されるのでは単なる力の論理に陥ってしまうからだ。クリカンルパンの面白くないところはそこだ。正義ではなく仁義を通し、アウトロウの生き様を見せてくれた山田ルパンに対して、比較的簡単に引き金を引くクリカンルパンはアウトロウ同士の「抗争」に留まってしまってピカレスクならではのロマンもへったくれもないのである。


 まあそれはそれとして、カリ城の時計台というと自動的に「グリーンウッド」を思い出すおっさん脳にも困ったものである。