代田昇は偉大だ。

たたされた2じかん (フォア文庫)

たたされた2じかん (フォア文庫)

俺にとって電波ソング的なモノの原体験は『たたされた2じかん』か『ファンクフジヤマ』じゃないかと思う。小学校の教室で妙に流行った記憶が。


 この児童小説、話はわりと単純。
 杓子定規で融通の利かないイヤな教師「シャクレナスビ」を担任に持つ主人公が、給食(子どもの大好物で争奪戦必至のカレーなのに)直前に腹が痛くなりトイレダッシュ、戻ってきた頃にはおかわりなんか残っていない。なぜかヤケクソにやたらと楽しくなった主人公は、スプーンとカレー皿を手にじゃかじゃかかき鳴らし「ちんぼんじゃらん さらめのさっさ」と連呼して踊りまくる。それが男子に感染し教室内はわやくちゃ。で、午後の授業でシャクレナスビに立たされ「ちんぼんじゃらん さらめのさっさとは何なのだ!」と詰問されるのである。もちろんそこに意味なんか無い。腹の底から湧いて出た造語なのであるから。


 どうもこの「ちんぼんじゃらん さらめのさっさ」が脳に残る中毒性ある読み物だったのだが、同じ教室にあった『ノンビリすいぞくかん』ほどの破壊力はなかったな。
 しかし今読んでこそ、「ちんぼんじゃらん さらめのさっさ」と踊り狂いたくなる自虐的なヤケ笑いが理解できるような気もするわけで。