私信:隣の研究室向け

理論刑法学の最前線2
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0255620/top.html

 第一章が胚・胎児を含む生命問題。第一章は佐伯仁志メインだからまだ読みやすいはず。お隣ゼミで興味のある人は該当部を図書館でどうぞ(ぉ。


 本屋行ったら平積みだったのでぱらぱらと。
 関西の刑法ゼミ出身者としては仮想敵の宣伝するみたいでいやなんだが、前田に続いておまいまで立法論政治論に行くのか山口、と思ってしまう第一章*1。必要性と危機感はわからないでもないが、該当部分立ち読みしてみるとなんというか山口だけ妙に浮いてる印象。
 今現在、社会は刑事法と民事法の相対性がもたらす害悪に対して過敏*2であり、法秩序の統一性を求める傾向にある。で、胚ビジネス・優生論的ビジネスは民事上莫大な財物を動かし、刑事上甚大な法益侵害を伴うものである、そのため刑事民事ともに強度の規制を持って応じなければならない問題である以上、そこにグレーゾーンはあってはならないはず。なのに違法相対論・多元論に立つ山口は「刑法上の保護」という言葉にこだわっている。どうも違和感が残る。
 ま、とりあえず余裕ができたら購入した上でじっくり読んで再度考えてみたい。でもなんか盛り上がらないんだよなあ、「最前線」は……。「エキサイティングしない刑法」よりはましなんだけどw。

*1:まあ岩波だしな……w。

*2:つまりは高利貸しの利息という暴力のことだな。