ガラスのくつ

目次レベルの破綻は迂回ルートで強行突破中。
多少の無茶は目をつぶる。


殺伐気分で「やってみたいな〜」とか言ってたら天使(?)のごとき悪友から押しつけられた『沙耶の唄』。
なにが怖いって、グロ描写よりも、時々自分が「向こう側」に落ちていることを意識させられるシーンがあって、ドキッとする。言うまでもなく沙耶はとんでもなく可愛いんだけどな!
息抜きにちょうどいいボリュームでした。これで調教系とかやり込み系押しつけてきたらリアルファイトになだれ込むところでした。
……ソフトフォーカス効かないこともあって恐怖の代名詞みたいに言われる「冷蔵庫」も案外たいしたこと無かったな。あの程度じゃ動じなくなってる俺も俺だが。インパクト的にはミイラの方が強かったかな……あれでもニトロにしては地味なんだけどw。


それはそれとして、選択肢が明確に「キャラクターの意思」ではなく「物語に対するプレイヤーの意思」を問う感覚ってのは久しぶりな気がする。
第一の選択肢は沙耶との関係を断ち切る選択肢でもあるわけで、プレイヤーは物語の先を知るという欲求から(あえて下に位置する)「どうでもいい」の選択肢を指定してしまう。
第二の選択肢はよりダイレクトだ。「郁紀に電話する」「凉子に電話する」選択肢が意味するものは、耕司の生死に直結する。支援者無しに本拠に踏み込む愚か者の末路は決まり切っている。「郁紀〜」選択肢をとるとき、プレイヤーの側には耕司に対する殺意が介在する。「沙耶の邪魔をするな」と。トゥルーエンド後の「凉子〜」選択肢は正直言うとオマケだ。とはいえ、このルートだけがホラーしてる(それでさえ序章に過ぎないが)のは困ったものである。
で、正直俺が「やられた!」と思ったのは最初の「取り戻す」選択肢の結末。監禁された郁紀のところへ沙耶がやってくる場面、扉の横の郁紀と、最後のページでベッドに腰掛ける郁紀には「顔が描かれていない」。最後にこのルート進めた俺にも問題はあるんだろうが、手頃すぎるボリュームも相まって、「沙耶を」、「物語の続きを」待ってるプレイヤーと同調してしまうのである。それもわずか二枚のイベント絵で。やられた。沙耶かわいいよ沙耶。