意外にも……

 陸上自衛隊 中部方面音楽隊 音楽まつり
 チケット取れるかなあ……。

 卒業式シーズンになると国旗国歌関係がきな臭くなってくるわけだが、意外にもここ二年ほど、私が聴衆となった自衛隊音楽イベントでの国歌演奏はあまりない。2003年の音楽まつり、守山市海上自衛隊舞鶴音楽隊・米海軍合同演奏会では行われた「国歌演奏起立脱帽」の流れが、昨年の中部方面音楽隊びわ湖ホール以来、とんと見られないのだ。また、2002〜2004年の航空自衛隊小松基地航空祭での演奏でも、国歌の類は演奏されなかった。それどころか、2003年音楽まつりでは行われていた入り口での金属探知器設置や持ち物検査までもが姿を消してしまった。日の丸にしても背景に揚げられているか、保安中隊がファンシードリルの最後に開くだけになっている。
 これは自衛隊が行っている「ソフト戦略」「市民の前でのイデオロギー排除」なのか、自衛隊の活動が受け入れられていると判断した上での「市民への信頼」なのか、あるいはその両方なのか。もしかしたら、単に陸上自衛隊が50周年記念曲として『凱旋』を持ったことによる「代替わり」(海上の『軍艦行進曲』、航空の『空の精鋭』に匹敵するテーマ曲の登場)なのかもしれない。
 今。自衛隊は、意味も、位置づけも、任務も、人々との距離も、変わっていく過程にある。脊髄反射で否定するだけではなく、国々、人々、さまざまな情勢をじっくり見てみてはどうだろう。まずは音楽を聴いてみるということから。

 ……と、こんなことを言えるのも、自衛隊音楽隊を「東京佼成W.O.と並び吹奏楽ジャンルを支えるアーティスト」という感覚にどっぷり浸かった中高生時代を送ったからかもしれない。